泥まみれの毎日だけど いまさら悩んだりはしない


落選の文字を見たときから、潔く諦める気持ちの整理はついていました。それは公演が始まって、さくらいくんがHip pop〜のchapter2をやったと知ったときも変わらなかった、はずだった。「後悔してない?」突然来たそのメッセージに、してないよってすぐに返すことができなかった。メッセージが来たのが15時ごろ、そしてその日の夜には宮城行きを決め*1次の日には新幹線に乗っているんだから、笑っちゃうよね。しょうくんの思いが言葉に音楽になって届けられる場に居合わせたい、その気持ちひとつで宮城に向かいました。超がつくほど出不精のわたしを、こんな簡単に動かすのはあらししかいないよ。仕事に追われてあらしのことまでまともに手を回せない日々が続いていたけど、やっぱりまだこんなに好きなんじゃんって改めて思わされた。


そんな始まりだったけれど、宮城行ってよかった。そう思わせてくれるコンサートをやってくれて、わたしはとてもうれしかったよ。そこには確信しかなかったけれど、ね。やっぱり、あの人たちが作り上げる空間はやさしい。装置のすごさとか、規模の大きさとか、そういうのは手段や結果でしかなくて。根底にあるのは、とびっきりのやさしさで。そんなことを、広い会場のまんなかにぎゅっと集まって、照明さえもほぼ使わずに果てない空を歌うあらしを見て、強く感じていました。その優しさに強く心を揺さぶられた、そんなコンサートでした。


おおのさんには、いつも通りのおおのさんでいてくれないと困るとおもってた。だっていつも通りの姿を見せてくれるのが当たり前でしょ、アイドルってそういうもんでしょ。ある種シビアなことを思う反面、だからわたしもいつも通りでいようとおもった。なのに、おおのさんがいつも通りふにゃっとした顔で笑いながらあらっしー!と声をかける姿を見て、いつも通りちょびっとふざけながらハケていく姿を見て、いつも通り笑いながらすこし泣いてしまった。気づいたら、右隣の人も、左隣の人も笑いながら泣いていた。涙のわけを言葉にするのは難しいんだけど、許すことが愛なんだとすれば、たぶんこの涙こそ紛れもないおおのさんへの愛なんだとおもう。やってしまったことも、たくさん傷つけたことも、そしてきっと傷ついただろうことも、その事実たちが消えることはないけれど。"いつも通り"のきみをもうこんなに好きになってしまったからさ、そうやって生きていくと決めたきみのことを応援しているからね。


Happinessで、一気に花道を駆け抜けた瞬間のしょうくんの後ろ姿がいまでも頭に焼き付いている。それが機材トラブルによるものだったということは、後から知った。知らなくていいとおもった。だってあの瞬間にわたしが感じた気持ちは、機転の利かせ方がどうとか、そういうんじゃない。この日この一回しかないお客さんがたくさんいる、ってことを5人は分かってる。そうしてメンバーが花道を駆けた瞬間にはじけた熱を、花道を駆けるしょうくんの背中に宿っていた無敵な勇敢さを、あのときわたしは確かに感じたから。そんなふうにステージを踏みしめるしょうくんが好きだと強く思ったから、涙が出たんだよ。やっぱりしょうくんは、ステージの上が似合う。chapter2、「ステージ上終身雇用」と改めて宣言してくれた姿を見て、わたしはこの言葉を聞きたくて宮城まで会いに行ったのかもしれないっておもったんだ。かつて「大の大人がアイドルなんて」と笑われた人の、大の大人になってもアイドルやってる今を、そんな過去の選択を、大まじめに肯定する未来に立ち会えてよかった。「ここまで連れてきてくれるなんて」ときみは言っていたけど、それはこっちのセリフだ。きみに見せてもらった景色、教えてもらった感情が多すぎる。ステージを駆けるきみの翼に、夢を託させてくれてありがとう。


宮城は空がとても綺麗だった。遮るものが一つもなかった。あらしとファンの、空の開けた閉ざされた空間。果てない空、震災直前に発売された応援歌ということだけではなくて、「果てない空」だったことに意味があるんだと、照明を消して歌う姿から伝わってきた。ケミカルライトの淡い光にじんわり包まれながらみんなで空を見上げた時間、世界の中心は確かにあそこにあったなあとおもう。


野外とツアーに分けてやるようになって、野外はお祭り騒ぎのザ・あらしなライブ、ツアーは新しいことに挑戦していく魅せるライブ、ってそれぞれ目的がはっきりしたのが改めてよかったなあとおもった。難しいことは何も考えず、あらしと一緒にただただ騒げる夏があることの尊さよ。今回はもちろん復興支援というテーマがあったけど、あらしがその眼差しを向けていたのは震災だけではなくて。それはメンバーが宮城でライブをやれるまで"4年"ではなく"8年かかった"と口にしていることからも伝わってくるのだけど。わたしは被災者じゃないけど、それなりに毎日つらいこともあって、それってきっとみんなおなじで。あらしは、来た人みんなに対して真摯にやさしかった。そうそう、わたしあらしのライブで声出して踊って、そんな時間を過ごすことで元気もらっていろんなこと乗り越えてきたんだった、って。いやなことはここに置いてっていいよ、今日くらい難しいことは考えずに楽しんじゃえばいいよ。毎日大変なこともあるけど俺らもおんなじだよ、みんな1人じゃないよ。もうずっと前から、変わらずに言い続けてくれているんだなあって気付かされた。笑って泣いてばか騒ぎして、あー楽しかった!でまた明日への一歩を踏み出していく。そんなあらしとわたしのいつもどおりを、思い出した。あー楽しかった!!!

*1:幸運にもお譲りしていただける方がすぐに見つかった。ありがたいことです