おかえり

あらしが、8年ぶりにアリーナに帰ってきた。大好きなおともだちと4年ぶりに、一緒にあらしに会いに行ってきたよ。久々にアリーナで見たあらしは、少し肉付きのよくなった身体も含めて、なんとなく大きくなったように見えた。おともだちと最後に一緒に入った日はまだ学生だったわたしも、すっかり大人になってしまった。確実に時間が刻まれていく中で、何も変わらないなんてありえなくて。あらしとわたしを取り巻く環境は、もう、ほとんどすべてが変わったと思う。だけど、だけどね。あのころわたしが必死に見つめていた「その全てが僕をいつも僕に返してくれる」と歌う彼らの声を、わたしはまだ変わらずに信じたままでいます。そしてあらしは、そんなわたしたちの前に、「あの頃」の場所に、帰ってきてくれた。少し目じりに皺を増やしたその姿で。「あの頃」には、きっともう戻れないけれど。「ただいま」「おかえり」と言い合える場所がある、そうしてまた先の未来へ踏み出して行ける。それがいまはとても幸せだと感じた、2016年の夏の夜の記録です。


◆ただいま
開演前、会場中であらしコールが響いてるなんて久しぶりだったなあ。客電落ちて、あらしの歌声が聞こえてきて、あらしのシルエットが見えて。シルエットだけで誰が誰なのかわかるの、ほんと変わんないよね。いろいろあってずっと一緒に入れなくて、ひさしぶりに大好きなお友だちと入ったコンサートで、あの頃のことを「青春」だって歌うあらしの声を聞いたらぐっときちゃって。…って思ったらともだちガン泣きしてて動揺するわたしwうん、泣いちゃうよね、そりゃ。最後のほう、照明がぱあっと明るくなってあらしの顔が見えた瞬間、なんかすごいほっとしたんだー。家に帰ってきたような、わたしが「ただいま」って言いたくなっちゃうような。そんな気持ちだった。

◆A・RA・SHI
ただいまの後この曲になって、ムービングが動いて、近づいてくるあらしに向かってC&Rしているとき、ちょっぴり泣いた。このときの気持ち、うまく言葉で説明できないんだよなあ。心の奥のほうに仕舞い込まれていた、だけど確実に肌に感じたことのある思い出が、目の前にいるあらしの姿によって呼び起されたような感じで。選曲、2曲目というタイミング、ムビステが動く演出…またじゅんくんにやられたって思った。やっぱり敵わない。

◆Japonesque
花魁衣装じゃなくなっていたけど、そのぶん振り付けが少しだけアレンジされていて、ドームの時の妖艶な感じというよりもキレよく踊るパターンになってた。これはこれでよかったよー!しょにのがすごい得意な感じのやつ。

◆イン・ザ・ルーム〜復活LOVE
ドームではあんなにかわいいタップを披露していたにのちゃんが、アダルトなにのみやさんと化して音色を奏でておられたよ…。にのみやくんが階段をのぼって、一呼吸おいて後ろを振り返り発せられる「ルージュ」の一撃必殺感よ。それも間違いなく狙って撃ってくるからね、確信犯にのみやくんは。「あ、いま撃つぞ!」ってわかった瞬間にモニターを見てじぶんから撃たれにいったよね。快感…。そうして女性たちを根こそぎ撃ち落としたスナイパーにのみやは頂点に君臨するソファにのけ反り天を仰いでおられました(死)。しょうくんのラップのとき4人がソロでダンスリレーしてたんだけど、あれすんごいよかった…。こういうのも、ステージがそれほど大きくないからこそできるんだよねえ。それと次の復活LOVEまでの繋ぎ、ネオン街みたいな映像がモニターに映し出されてジャジーな雰囲気の中あらしが踊るんだけど、なんかすごいARASICK思い出したんだよなー。あのときの5人がそのまま大人になった感じがあって(実際にそうなんだけど)、ちゃんと歴史というか時間の繋がりを感じられてうれしかった。そんで復活LOVEはやっぱりライブで映えるねえ!「おかえり」の前に聞こえた、あいばくんが息を吸い込むブレス音にこうふんしました!!!この2曲の流れに息を巻いた。
会場中がしんと静まり返りながら、息を呑むようにあらしのパフォーマンスを見つめるあの空間。ぴんと張りつめた空気の中に漂う少しの緊張感と静かな熱気が、心地よくてたまらなかった。双眼鏡を通さずに確かにこの目で捉えている彼らのパフォーマンスに、興奮して溢れそうになる気持ちをなんとか堪えながら、「ああ、あらしはやっぱりアリーナが似合うな」と、そう思った。種も仕掛けもなく、ただ自分たちの身体を使って表現すること。それがあらしにとって一番のパフォーマンスだし、その身体から生み出される熱を受け取るにはアリーナくらいのサイズがちょうどいい。あらしがアリーナに戻ってきたのは、ファンと物理的に近い距離でライブをするためではなくて。もちろん各地に自分たちで出向くということもあるけどそれだけじゃなくて、このサイズでしか感じられない空気感が、このサイズだからこそ届けられる熱量があるって知っていたから、でしょう。だからこその"show"なんだと、腑に落ちた。できるなら1秒でも長くこの空間に酔いしれていたいと、本気でそう思ったよ。

◆しょうくんドラムライン〜Luckyman
しょうくんが1人ステージに残って客席に向かっていろいろ話してくれるんだけど、その話し方が身内に話しかけるようなラフな感じで、すんごい好きなしょうくんだった><決してテレビとかでは見られないような、ね?ここにいる人たちはみんな自分のこと好きな人たちだからって安心しきってるような、ね?じぶんがドラム叩き始めるときにキャーって言ってくれなかったファンに「こっち側のお客さんはキャーって言ってくれないんだね」ってわかりやすくすねてみたり、ね?はあ、好き…。やっぱり距離的にファンからの反応もダイレクトに届くみたいで、観客のリアクションにいちいち反応返してくれるのがうれしかったなあ。なんかほんとホームって感じでさ。このコーナー静岡からやったんだよっていうから「へえ〜!わあ〜!」みたいな反応したら、「ネットで知ってた人もいるかもしれないけど、新鮮な反応ありがとうございます!」って言ってたり。やっぱ、しょうくんもうれしいんだろうねえ。しょうくんがドラム叩いてファンが手拍子をするっていうコーナーなんだけど、ドラムスティックの先を客席に向けてリズム刻みながら手拍子のタイミングを教えてくれるしょうくん。さ、指図・・・!って感じでめちゃくちゃこうふんしました。しかもこの人、自信ないっていうファンに対して「自信ない人も大丈夫、先生がちゃんと教えてあげるから」とか言う。しかもちょっと笑いながら言う。しょうくんは無意識にエロを繰り出してくるから反則なんだよもう!!!今回のドラムラインは歌なしだから、ドームの時より余裕のある感じで、ドラム叩きながら上半身とか顔もリズムに乗っちゃったりして。わたしの好きな音楽少年がそこにいた。そんでこの手拍子コーナーからラキメンに移っていくんだけど、スティックをノールックでじゅんくんに渡すしょうくんんん!!!ありがとうしょうじゅん(礼)

◆Daylight
これをアリーナで歌って踊るあらし見て、この曲がいまのあらしの最新曲なんだなあって、しみじみと胸に沁みた。いいことばっかりじゃない毎日の中で、ちいさな光をそっと掬い上げて、だいじに抱きしめていてくれるような曲が似合うとこ、わたしがあのころ好きになったあらしのまんまなんだもん。こういうとこほんと変わんないよねって思ってちょびっと泣いた。デビュー曲と最新曲でファンの胸を揺さぶってくるあらしは強いよ。

◆MC
ぱんつと風間の話。夜会での「ライブのぱんつは2軍」という話を自分が取材したかのように話していた記者がいたと聞いて、「それはその記者さんが2軍だわ。ずるいわ」と言い放つさくらいくん最高じゃないですか?!?!真摯に仕事をしない人に対して「2軍」だとはっきりと言い放つさくらいくんとかちょう理想のさくらいくんだよ!!!「ファンの子は知ってると思うけど、」という前置き付きでテレビで言ったやつだと説明するしょうくんにも100万回目の恋に落ちたし。「だからその記者さんに申し上げたわけではございません」という急な敬語から感じられるはっきりとした憤りの感情がたまりませんです。そのあとそれぞれのぱんつの話題に移ってあれこれ話した後、まだなお「ちなみにその雑誌なに?」とまったく許す気配のないしょうくん!震えるよね!それに答えるあいばくんの声、この日イチの小声だったからね!困ったように笑いながら答えてて、「許してやってよ」感満載だったからね!ちなみにテレビ誌だってよ!みんなお仕事は真摯にやろうね!
ぱんつは2軍の話してて、じゅんくんが「でも来てくれてる子たちは勝負ぱんつ履いてきてくれてるかもしれないよ?」的なことを言ってくれたあと、すかさず「きょう勝負パンツ履いてきた人〜?」と会場に聞いてのけるおおのさとし。ちなみにこれがおおのさんのMC一言目です。「あなた怖いものなしだね!」とメンバーにばくしょうされてたけど、むしろそれを聞くのはさすがに躊躇するという感覚を持っているあらしの紳士さに驚きましたけど。笑 「みんなも普通に(変わらないテンションで)はーいとか答えてるし!」と笑うしょうくん。あらしはきょうも平和だなア^^

◆Everybody前進
別に入れなくてもいいはずのこの曲を、さらっと入れてくれるあらしは相変わらずやさしいなあ。Timeの映像がモニターに映ってて胸熱だったよね。。間奏のぐるぐる回るフリ踊ってくれてたよー。これがおおのさんの振り付けだって知らない人もいるんだろうなあ・・ってぼんやり思ってたら、隣の友だちが1人でサビの振り付け完璧に踊っててめちゃくちゃ笑ったwさすがですw

◆DJ×MJ〜ソロリレー
リミックスされたあらしの曲を短く繋いでいくんだけど、truth・One Love・ラブソと来てうん…てなってたら急にPIKA☆NCHI、からのまさかの道が流れてえーん!ってした。「あの頃」は、あらしにとってもだいじな青春時代、なんだよね。ちゃんと忘れないでいてくれて、忘れてないよって言葉じゃなく伝えてくれるあらしが好きだよ。モニターをスマホに見立てて操作するようなパフォーマンス。同じネタでも同じパフォーマンスは絶対にしないのがあらし。このスマホ演出、じゅんくんっぽくて良かったー。DJでご当地ネタを毎回いれてくれてたみたいなんだけど、静岡は「だもんで」だった!タイムリーなドラマネタ嬉しかったな^^このDJに続いてソロリレーがあるんだけど、ANOのソロはバックに4人ついて踊ってたのに、SソロだけなぜかDJとしてMJのみがつくしょうくんのVIPぶりに全わたしが泣いた。Disco starのバックの人たちふざけ倒してて最高だったよ。まがおでジャンプしながら頭上で手拍子してたかと思ったら、全力ディスコスターばいばい&ウォーク。ほんとディスコスター様だいすきだな君たちは(にこにこ)!

◆三日月
まっしろなふわふわ衣装の下に電飾(付きの衣装)が仕込まれていて、クラゲのようにゆらゆらと光を放ちながらゆっくりと歩くあらし。言葉にするとこれだけなのだけど、DJからの緩急もあり、曲の世界観に綺麗に合った演出でうっとりした。ペンラが消えて照明がほぼ衣装の光だけになる演出があるんだけど、これぞアリーナだからこそ映える演出だなあと。ペンラはぽつぽつ残る光もなくすべて消えていたし、サイズが小さいから照明がほぼなくてもあらしがちゃんと見える。アルバム聴いた時からこの曲をライブでやってほしくていろいろと想像したりしてたんだけど、あらしがやるとこうなるのかー!って惚れ惚れした。

◆マスカレード
一言でいうとエレクトリカルパレード。水吹きがなくなってもこの曲のトンチキジャニーズ感が失われていなくて安心した。というかトンチキあらし感だった。とにかく光る。光る。光る。すごいんだけどなんかおもしろい!でもすごい!みたいな。ちょっとマジソン思い出した。やっぱこの曲はこうでなくちゃ!

◆Borero!
ありがたいことにおおのさんが近くに来てくれたんだけど、間近で見たおおのさんのお顔はこの世のものとは思えない美しさだった…。なんだろう、他の4人はきちんと歳を重ねている感じがあって、それが人間ぽい色気もあってとても素敵でかっこよかったんだけど。おおのさんはなんていうか、近くを通った瞬間に時空が歪むというか、何か神聖なものを見たような気持ちになるというか、神々しい美しさだったよ…(ため息)。そんなおおのさんと一緒に間奏でパフォーマンスするあいばくんを見守りました。空中で身体をまっすぐに維持したままくるくると回るあいばくんの姿が忘れられない。裏での努力の賜物として、わたしはあいばくんの背中に羽を見た。血の通った天使だよ、あいばくんは。

◆miyabi-night〜心の空
心の空の圧倒的クライマックス感に心を鷲掴みにされた。これをアリーナで見せてもらえるなんて、ほんと贅沢だよ。あの子やあの子、早くみんなに観てほしい。

◆アンコール
10分以上粘ったねえ。結局あらしは出てこなかったけど、会場みんなで「あらし」と呼び続けたことに意味があるし、きっとちゃんと届いてるって信じてる。最近こういうのなかったからさ、すーごいうれしかったなあ。ライブはね、あらしとファンで作るものなんだよ。わたしが今回アリーナコンを楽しかったなって思える理由の一つに、会場にいたファンの気持ちが同じ方向を向いていたことっていうのが間違いなくある。そう思えるのがうれしいし、きっとそう思ったのはわたしだけではないはずで、そういう気持ちを取り戻せた人たちがいるってことが今回アリーナをやった一つの大きな意味になったんじゃないかと思うよ。


あの頃を懐かしみつつ、でも感傷に浸るわけではなく。一緒に思い出を共有しながら、今この瞬間に命を懸けて、次の道へと繋いでいく。過去を肯定し、今を大事にして前を見る、わたしの好きなあらしが作ったライブでした。ドームや野外で毎年あれだけのクオリティのライブをやっているすごさを前提に、誤解を恐れずに言うと、あらしはやっぱりアリーナが似合うよ。5人の身体こそが生み出すクリエイティブで繊細なパワーと熱量、そこからどうしようもなく伝わってくる愛を、こうして受け取れる今があることがほんとうに幸せです。だって、また信じていられる。ステージ上で歌い踊るあらしの姿こそが夢だと信じたあのときから、変わらないものがあるんだもん。そういう、もしかしたら無くしてもいいかもしれない選択肢を、捨てずに選び続けてくれるあらしが好きだなって。思えば遠くに来たもんだけど、遠くも悪くはないもんだなあ。